公園で王子様を拾いました!
咲希の両親は離婚していたのなら、咲希は母親と二人で暮らしていたのだろうか。


咲希の家も知らない。


いつも公園で待ち合わせして、小学校へ通っていた。


うちには遊びに来てたけど、咲希の家に遊びに行ったことは一度もなかったのだ。


引っ越しの日に見送りに来てくれて、一緒に泣いた事をはっきり覚えている。


あの時、咲希は何を思っていたのだろう。


ずっと、ずっと、私を憎んでいたとしたら。


自分のバカさ加減に笑えた。


「咲希は麻都佳が羨ましかったんだと思うよ。自分にないものを麻都佳が持ってたから。」


それは何なの?


咲希が私を羨むほどのものとは。


咲希は物静かな子だったけど、友達も多くて、私は人見知りで友達が作れなかった。


智哉がたくさん遊んでくれたから、寂しく思ったことはなかったけど。


高校生の智哉は私の我儘を付き合って、書店や買い物にも行ったり、智哉の高校の文化祭へも一緒にいった。


智哉といた楽しい思い出に、咲希は存在しなかったのだ。

私一人が楽しいと勘違いをしてたのだろうか。










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