冷徹社長の容赦ないご愛執
 洗濯物は早々に片付けておいたし、出張に出る前に部屋を掃除していてよかった。

 普段から愛飲しているオーガニックのルイボスティーの茶葉をポットに入れて待っている間、先日からの社長の私に対する言動の数々を思い出していた。

 好きだと言われて、抱きしめられて、彼の気持ちに応えていないのに、キスをされて……

 ルイさんに抱き寄せられたときは嫌だったのに、社長に関しては、最初からそのどれもがまったく不快ではなかったことに気づかされる。

 海の向こうに社長を待っている人がいるということには、目を覆ってしまいたくなる。

 けれど、今まさに私の元へ向かってくれている社長が、私の心を自惚れにとろけさせてしまっている。

 シュンシュンと沸騰するケトルの音にはっとして、自分の緩んだ口元を両手の指先できゅっと持ち上げる。

 気づけば社長のことばかり考えてる……

 彼のことを想うだけで、心がとても幸せな気持ちになっているのを感じていると、私ひとりの部屋にインターホンの音が鳴り響いた。
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