冷徹社長の容赦ないご愛執
 私の髪を何度か長い指ですいたあと、額にキスをくれた社長は体を起こした。

 カーテンの隙間からこぼれる寝起きの朝日。

 まだ弱い光に浮かび上がる引き締まった体に、胸がぎゅうっと強くときめく。


「一度ホテルに戻ってから出社する。もう少しゆっくりしていたかったけれど、すまないな」

「いえ……」


 大きな手のひらに頭を撫でられて、ごろごろと喉を鳴らすように目を細める。

 いい子だ、とでも言ってくれているようなやさしい笑みに、好きの気持ちがあふれて止まらない。

 惚れたらめちゃくちゃに犯す、なんて脅したくせに、昨夜私に触れる社長の指使いは、壊れ物でも扱うようにやさしかった。

 そのやさしさを思い出し、女の部分がキュンと切なくなる。

 ベッドに腰掛け、脱ぎ落としていたシャツを拾う背中に、吸い寄せられるように指先で触れてしまった。

 ピクっと反応する社長は驚いたように振り返り、まだ横たわったままの私に覆いかぶさるようにして、昨夜の続きのような熱いキスを降らせた。




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