占いガール
「・・・分かった」
千尋はそう言うと雑誌をゆっくりと捲り始める。
震えた指先で確実に一枚ずつ進む。
そんな千尋を北本先輩は優しい瞳で見守る。
この人、こんな顔出来るんだ?
女の子をはべらせていた時は上部だけの笑顔で、いつも冷めた瞳をしてたのに。
千尋を見る目だけは熱が込もって、とっても優しいんだ。
千尋・・・えらいのに目をつけられたわね。
こりゃ、相当嫉妬深い男だよ。
だけど、この男はきっと千尋だけを愛していくんだろうね。
本気でムカつくけど。
ベラペラとページを捲る音が聞こえそうなほど、私達のテーブルは静まり返ってる。
でも、こんな時間も悪くないわね。
「・・・・・」
自分の占いの所で目を止めた千尋は、読むにしたがって涙をポロポロと落としていく。
「ね? 千尋ちゃん。そこに載ってる占いは千尋ちゃんを解放してくれそう」
北本先輩はそう聞いた。
占い内容をとっくに知ってるはずなのに、知らない振りをする辺りが策士よね。
「・・・っ、はい」
涙声で返事した千尋。
ポロポロと流れ落ちる涙は、きっと悲しいものじゃない。
前を向いて進むための、第一歩だと思うから。
私と北本先輩は、雑誌の占いを読む千尋を黙って見守る。
それを読んで答えを出すのは彼女だ。
でも、どうか千尋が元の可愛い女の子に戻るようにと願わずには要られない。
千尋の気持ちを否定するつもりは毛頭ないけれど、新しい一歩を踏み出す力を取り戻して欲しい。
私達の周囲にあるのは、カフェの生活音だけ。
緊張で掌に汗をかいてしまうのは仕方がない。
「・・・私、ありのままで良いんだね」
雑誌から顔を上げた千尋が泣き笑いする。
その表情に、迷いはない。
安心すると同時に、雑誌の占いがどんなものだったのか、とても気になった。
「そうだよ、千尋ちゃん。君は君のままでいいんだよ」
北本先輩が千尋の言葉に嬉しそうに笑って頷いた。
「・・・北本先輩、ありがとうございます」
千尋はそう言うとゆっくりと眼鏡を外して、一括りしていた髪をほどいた。
周囲から驚きの溜め息が漏れ出る。
「千尋・・・良かった。本当に良かった」
ありのままの彼女を見て、涙を流さずにはいられなかった。