世界できっと、キミだけが
「パーティの場にいたのが幸子お嬢様じゃないことを誰に聞いたのか、ようやく男が吐いたらしい」
「…え!?」
宇都木の弟との取引の事は正直に話していた男だったが、その件についてはずっと黙秘していた。
宇都木の弟がそのことを知っているわけがない。
あの男の目的は、本物の幸子お嬢様だったのだ。
俺が、幸子お嬢様が偽物だと言った時、あの弟は本当に知らなかったような驚いた顔をしていた。
「その証言は、確かなんですか?」
「…ああ。裏もとれた。あのオートバイの男との関係も明らかになった」
「あいつも証言したんですか?」
「男が吐いたと伝えたら、大人しく白状したらしい」
律儀に自分に命令を下していた人間を庇い続けていたオートバイの男。
それでも、明らかになったことで諦めたんだろう。
それよりも、その手引きした人物っていうのはいったい誰なんだ…。
宇都木社長の関係のものか?
それとも…。
「それが、その人物は―――――」