自意識過剰じゃないですか?
「心乃枝さん、もう一度言うけど、俺の事好きでしょう」

あぁ。

馬鹿のひとつ覚えのような、自分の言葉に嫌気がさす。

彼女は振り返り、困ったような作り笑いをして、形式張った言葉を返してきた。

「もちろん、金城専務の事は尊敬しておりますし、好意を抱いております。この会社従業員皆が専務の事を素敵な方だと申しております。では、失礼いたします。」

そう言うと、美しいお辞儀をして扉の向こうに消えてしまった。


< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop