常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

すると、それまで奥のテーブル席にいた、ウェーブのかかったアッシュブラウンの長い髪の女性が、水島の隣のソファにやってきて座った。

水島は、その女性と「田中さん」に挟まれる形になる。

「……そんなに待ってないわよ、慶人」

アッシュブラウンの女性が婉然(えんぜん)と微笑む。

「うわっ、なんでおまえがここにいるんだよっ!?」

水島が()()って驚く。

普段のイヤミなまでに冷静沈着な彼からは想像できない姿に、彼女はうれしくてたまらない。
思わず、笑い声が大きくなる。

「黙れ、蓉子!」

水島が彼女を睨んだ。
彼女は、人事課の朝比奈 蓉子だった。

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