隣人はヒモである【完】



「……来たのはごめん」

「……もういいよ」

「でも話がしたくて。……俺何かした? 穂波が嫌がるようなこと、なんかした?」

「そういうわけじゃないけど」



るいくんに問題があったわけじゃない。


だからどうして連絡をしなったのだと聞かれたら、明確な理由をあげることができない。


そもそも、明確な理由が無ければ別れられないような縛られた関係じゃなかったはずなのに。


最後にるいくんと会ったとき、やっぱりるいくんから連絡が来て、言われるがままるいくんの通う大学の最寄り駅で待ち合わせをして、そのまま二人で電車に乗り、二人の最寄り駅で降りて、るいくんの家に行った。


るいくんの家でだって特別な何かがあったわけではない。


いつも通りあたしがご飯を作ってあげ、るいくんは必要以上に調味料をかけて、うまいと食べながらあたしに触れ、そのまま押し倒れされるまでがいつもの流れだ。



「じゃあこれからも今まで通り会ってくれる?」



あたしの方を上目遣いで見るるいくんの目はきれいなアーモンド型で、高級な猫みたい。



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