ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



この感覚は初めてだ。

むしろ、生まれ変わった気さえする。

僕がきつく抱きしめているのに、温かい優しさに包まれているような……。

これが、愛なのか。

それに気づくと、自分がいかに汚い人間かを思い知らされ、心が打ちひしがれた。

「彩矢香……愛してる」

「……こんな私で、いいの?」

「あぁ。どんな彩矢香でも、愛してる」

何がなんでも守りたい。彼女も、この愛も。

安らぎによって清められた魂はそう叫んでいた。

「さあ、眠ろう。疲れたろ?」

「ぇ、でも…」

「いいんだ。僕はずっと、彩矢香の傍に居れたらそれでいい」

身体ではない。紙で交わす契約でもない。

僕らは心で結ばれている。

崇高な愛の形だ。

それをさらに輝かせるためには、今夜がとても重要になる。

呪いを終焉させ、死に関わった者の謎を解く。

すべて終わらせてこそ、やっと僕らの元に幸せが訪れるのだ。

彩矢香の無垢な寝顔に誓った。

たとえ誰かが壊そうとしたって、呪いという邪悪な力で阻もうとも、僕が命を呈して守ってみせる。

と——。




 
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