ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



鍵のかかる場所はすべて施錠をした。

一応、任されることによる責任感はあったからだ。

「彩矢香の部屋にある手鏡を使おう」

「ぉ、おぅ」

時間が迫ると、さすがの康文も顔が強張っている。

「本当に終わらせられるんだな?」

「あぁ!」

時刻は2時半を過ぎていた。

気分を落ち着かせるためか、今日初めて会話の先手を打つ康文。

「タツミは信用されてるんだな。こんな豪邸を預けるなんて」

「まぁな」

「ふたり、ヨリ戻したのか?」

「……いや、まだ明確には。でも、僕たちはそうなると思う」

「そっか……」

「なんだよ、いきなり」

ここで彼は、とんでもないことを口にした。

「俺さ、サヤに告白しようと思ってる」

「は゛⁉ 何言ってんの?」

「気付いたんだよ、昼間。必死で俺のこと守ろうとしてくれて、俺もサヤを守りたいと素直に思った。今日が終わったら告白する。フラれてもいいんだ……友達としても、守ることはできるから」

「ふ…」
ざけんな。彩矢香は僕のモノだ。何人たりとも指一本触れさせない。

「ライバルだな、俺たち。でも負けない自信がある」

「っ゛……」

どこから来るんだ、その自信は。走るしか能がないくせに。

しかし、正体がわからないから、余計に脅威を感じる。

独走だと思っていた僕にあっという間に追いついて、彩矢香とゴールテープを切るのではないか、と。

「僕も絶対に負けない。自信がある!」

決めた。

コイツを殺す。

厳密に言えば、呪いの化身が。

犯罪者に成り下がるつもりなど無いからね。



 
< 80 / 163 >

この作品をシェア

pagetop