再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
4.黒王子が意外と甘かった件。

01

 
***


もうずっと、航くんのことが頭から離れない。

恋人を裏切るような酷い人のことなんか考えたくないのに、気を抜けばすぐに考えてしまう。

そんな毎日を過ごしながら迎えた、金曜日の朝。

今日は航くんが戻ってくる日だ。

彼がいなかったこの1週間、何事もなく私なりにしっかり仕事をこなしたつもりだ。

だから、航くんとも以前と同じように顔を合わせればいい。

何も特別なことはないと、落ち着かない気持ちに気づかないふりをして私は出社した。


午前の業務が始まり、私は昨日の夕方に届いたばかりの複数メーカーの照明パンフレットの整理をしていた。

新商品がたくさんあり、つい見入ってしまいそうになるのを抑えながら作業を進める。

おおよそ作業を終えたとき、企画営業の永嶋(ながしま)さんが私のデスクにやってきた。

永嶋さんは私よりも10ほど上のやり手の先輩だ。


「今週の頭に発注を頼んだ照明だけど、あかり照明のAC0907を5ケースを間違いなく発注したよな?」

「ショッピングモールの雑貨屋さんの照明ですよね?」

「そう」


パソコンに向かい、確認する。


「えっと……発注したのは、あかり照明のAC0901を5ケースで……あの、907、ですか?」

「やっぱりな。商品が違うっていう連絡がきたんだよ」

「えっ?」

「依頼したのはデザイン違いのAC0907だ。901じゃない。はぁ。まったく、参ったな」


永嶋さんが呆れたように眉間にシワを寄せ、大きく息をつく。

ミスをしてしまったことに気づき、一気に血の気が引いた。
 
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