再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
 

いつも通りに出社した私は、午前中は通常通りの業務を行っていた。

ありがたいことに、急ぎの作業は他の同僚に依頼するように部長からも連絡が回されているため、トラブルさえ起こらなければ私のところには作業は来ないはずだ。

割り込み作業が入らない分、いつもより仕事に集中できるはずなのに、何だか落ち着かない。

案件を見に行くことが楽しみな気持ちが大きい一方で、航くんのアシスタントとしての自分の役割を果たせるか不安があるからだろう。

でも私なりに準備をしてきたし航くんも率直な感想を聞かせてほしいと言っていたから、まずはそれに応えられるように務めるだけだ。

そしてもうひとつ、気持ちが落ち着かない理由があった。

それは、今日が無事に終わったら、私の不安を航くんにちゃんと話そうと心に決めていること。

この前の休みのときに話そうとも思ったけれど、航くんの仕事が落ち着いてからのほうがいいと思ったし、楽しみな気持ちも乱したくなくて、そういう結論になった。

航くんならなんだかんだ言いながらも私の不安を受け止めてくれると思う。

そう信じているとはいえ、内容が内容だし話すのには勇気が必要だ。

どちらも私らしくいればきっと大丈夫だと言い聞かせ、私は目の前の作業に気持ちを集中させた。
 
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