笑顔をくれた駅員さん
私が教室へ入ると、あるはずの席がなかった。
「橘さんおはよ~。あれ、橘さんの机、ないねえ?」
首をかしげて顔を覗き込んでくる。
南原さんだ…
彼女以外にこんなことする人はいないと思う。
怒りで手がわなわなと震える。
でもいま怒りをあらわにしたら彼女の思うツボだ。
会いたい。
今すごく私のヒーローに会って慰めてもらいたい。
そんな気持ちを押し殺して机を探しに教室を出ようとした。