御曹司と恋のかけひき

9話

7回目のデートはいつもと変わっていた。

いつもは土曜日に会い、ランチを食べ、観光し、夕食を食べて帰る、
服もひざ丈のスカートやワンピースなどの女の子らしい服。

食事するレストランや、観光も全て、藤沢さん任せ。

今回会うのは、日曜日の夕方、初めて食事する店をリクエストした。


ただの食事じゃないわ、戦いよ!!

少しずれた気合を入れる。


服装はフォーマルコーナーで買ったドレス、
鞄も小ぶりでフォーマル感のある物にしている、
髪はアップにし、メイクもくっきりしたものにしていた。

パーティに出席する事になり、自分なりに勉強しようと、
マナーの本を3冊買った。
フォークの使う順番や魚の骨の取り方など完璧なはず。

つまり、今回のデートは、パーティに出る前のマナーの総括と言った所なのだ。
(もちろんこれは藤沢さんには内緒にしている)

例によって、駅からロータリーに出ると、藤沢さんが待っていた。

「お待たせしました」

最近はすっかりくだけた口調で話しているが、今晩は気合のせいか、
少しかしこまった口調になる。

「ようこそ」

藤沢さんも、口調を合わせ、車のドアを開け、エスコートしてくれる。

ドレスを着ていきますとしか、伝えてなかったが、
リクエストした店から察したのか、
藤沢さんも黒のスーツをぴしりと着こなしている。

今まで全てお任せでいたのに、急にリクエストした私に何も聞かず、
いつものように無言で車を走らせる。

「寄りたい店があるんだけどいい?」

「ええ」

レストランの予約の時間まで、さほど時間がないので少し心配しながらも、
同意した。
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