好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
11 真紅のお姫様


「真紅ちゃん、今日は黎くん遅いわね?」
 

学校へ行く支度をしていた真紅は、母に言われて唇を噛んだ。


のもつかの間、何でもない風を装って振り返った。


「言い忘れてたけど、黎、今日から実習でこっち来れないんだって。一週間くらい、来れそうにないって言ってた」


「あら、そうなの? だから真紅ちゃん元気なかったのね」


「……そう見えてた?」


「うん。いつもより、全然笑ってないわよ? でも、また逢いに来てくれるんでしょ? それまで少しがんばらなくちゃね」


「………、うん」
 

次に黎に逢ったら、なんと言おう。なんと言えばいいだろう。

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