好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
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「……やってしまった………」
ひとしきり、黎に抱き付いて泣きまくった真紅は、正気を取り戻してから凹んでいた。
椅子に座った真紅の前に、黎が立っている。
「なあ、お前たちが誰も頼れないってのは澪に聞いてわかったんだけど、どういう理屈で頼っちゃ駄目なんだ?」
「どういう理屈って……」
理屈ならたくさんある。陰陽師としての縛りとか、契約とか。
返事に困った真紅の手を、膝を折った黎の手が包む。
じっと見て来る眼差し。真紅は、真剣に答えを探す。
「えと、依頼内容は絶対秘密だから、他の人――自分の家族にも、そのことを欠片でも悟られちゃ駄目で、だから言えない。
どんなことを知っても、誰にも話しちゃいけない。どんな結果になっても、哀しいことだったとしても、それも依頼に含まれていること。だから、誰も頼ってはいけない。
――総てを引き受ける覚悟で、私は影小路に入る道を選んだ。辛い気持ちを、誰かに寄りかかって解消することは出来ない。……そんな感じかな?」
真紅が紅緒と白桜、黒藤から教わったことを話すと、黎は「ならさ」と返して来た。