キミへ告げる想ひ
09-夢に向かって

1,

春になるまでは、春日部にある昔バレエ教室だったところを拠点として練習を行うことになった。

本番である文化祭は六月に行われるので

練習できる時間はかなりあると思われたが

桂碁以外はみんなそれぞれ部活に入っているので
その分練習時間は減ってしまっていた。

「あー疲れた」

音楽が鳴り止むと同時に菜々子が床に寝転んだ。

「んじゃ、五分休憩ね。今のうちに水分取っときなさいよ」

そう言い残して部屋を出て行った人は、水沢明梨(ミズサワ アカリ)という人だった。



明梨さんは菜々子曰く、このバレエ教室にいたときの先生らしい。

明梨さんのお母さんが菜々子の祖母にあたり、

去年から使わなくなったこの場所を貸してほしいと明梨さんのお母さんにお願いしたところ、

明梨さんに連絡して無償で桂碁たちのインストラクターを引き受けてくれと頼んだのだということらしかった。
< 121 / 431 >

この作品をシェア

pagetop