キミへ告げる想ひ
「やっぱりすごいな、プロって」

桂碁はぼそりと呟いた。

「明梨さんのこと?」

「うん。
菜々子はここに通ってたから、
水沢さんのことは知っていたと思うけど俺らは初めて会ったわけじゃん?」

「うん、そうだけど。
どういうこと?」

「うーん。
自分でもよくわからないけど、なんか、自分が好きなことを仕事としてずっとやっていけることがすごいなって思っちゃって…」

「確かにそうだよね…」

真紗実はボソッと呟いた。

「あとアイドルは、やっぱり選ばれた人がなれる職業なんだなって思った」

「うん…やっぱりアイドルとかは狭き門だよね…」

「桂碁、アイドル諦める気?」

華が怒り気味の口調で聞いてきた。

「その逆。むしろ、余計なりたいって思った。

今はアイドルになるための門に行っても固く閉ざされるだけ。

だから、まずは俺たちが閉ざされてもこじ開けられるような力、
つまり実力をつけないといけない」

「ということは…?」

「六月の有志発表のときステージで踊るでしょ?
だからそれを成功させて、俺らだけで学校で単独ライブをやる。

それが今、俺たちが通れるアイドルになるための道だと思うんだ」

「単独ライブか…。いいかも!」

菜々子のテンションが上がっているのが、近くで見ていてよくわかった。
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