キミへ告げる想ひ

1,

スキー旅行から帰ってきてから三週間ほど経った
一月十日、桂碁たちは近くのカラオケ店に来ていた。

もちろん、文化祭の有志で発表する楽曲を決めるためである。

「どうやって決める?曲」

「まずは全員一曲ずつ歌ってからにしよ」

桂碁はそう言って、すぐそばにあった曲を入れる機械、デンモクを手に取った。

「何の曲歌うの?」

「やっぱり“あまちゃん”かなー」

「何なのそれ?っていうかラブライブじゃないのね」

「数年前にやってたNHKの朝ドラ」

桂碁が『潮騒のメモリー』を歌い終わって点数を見てみると八十九点ジャストだった。

まあまあの結果だなと桂碁は思った。

「桂碁ってけっこう歌うまいよね。羨ましいよ」

「まだまだだよ。全然みんなに追いつけてないし」

桂碁はみんなに自分の歌を褒められて少し照れくさかった。

八人の中で一番点数がよかったのは、菜々子で、

桂碁は二位に落ちついていた。

彼女たちが歌っていた曲は桂碁が知っているのもあったけれど
ほとんどは知らない曲だった。
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