ごめん。俺、バカで
「なぁなぁなぁなぁ」


『うるせーよ。早く要件言えよ』



俺の〝なぁ〟の連呼に耳を塞ぎたくなってるであろう、ヒロは面倒くさそうに話す。



「あのさ、いつも本読んでる女の子の名前!教えて!」


『は?誰だよ。それ、しかも急に』


「あれだよ!あれ!ヒロの前の席の」



そう言えば、ヒロの席が近かったと思いだす。



『笹波さんのこと?』


「笹波……」



苗字を言われてもピンとこない。



『笹波さんがどうしたんだよ』


「あのさ、下の名前は!?」


『は?知るかよ。あ、でもたしか隣のクラスの新庄がチアキって呼んでだぞ!』



ヒロが告げた名前に頭がピンッとなる。



「それだ!!!頭に電球ついた!サンキュー!」


『は?電球?』


「ありがとう!じゃあな!」



ピンと来たことが嬉しくて、ヒロの言葉なんて聞きもしないで電話を切る。



「チアキか……」



それで、チアって呼ばれてるんだ。

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