私の恋した誘拐犯【完】
分からないけど、でもきっと本気だとは思われていないんだろうな。



「…俺も好きだよ」



その声に思わず肩が跳ねた。



ハッと洋くんを見上げる。



そこにはいつもと変わらない笑顔の洋くんが私を見ていて。



あぁ、いつもの調子か、と少し寂しくなる。



「うん、ありがとう」



私の「好き」に洋くんが返してくれたことが今まであっただろうか。



それだけで心臓が飛び跳ねるほど嬉しいのなんて、洋くんは知ってるのかな。
< 467 / 530 >

この作品をシェア

pagetop