その男、カドクラ ケンイチ










(俺の・・せいだ・・・)




カドクラはしゃがみ込む。





(俺がタカハシをあんな目に追い込んだ

俺のせいでタカハシは・・・・)




『信じる心がない今のお前に生きる資格はない。』


図書室でタカハシに言った言葉が胸に突き刺さる。




(何が教師の目だ 何が担任だ

 生徒一人救えない


俺がタカハシを  殺した)






カドクラの精神状態はもはや正常ではなかった。


エンドーの言葉も、カドクラの心には届かない。













やがてカドクラは虚ろな目をして立ち上がる。






(ここから飛び降りれば、タカハシの気持ちも少しは分かるかな)






足を引きずるようにしてフェンスまで辿り着く。





「俺は、教師失格だ・・・」




夜の静寂に包まれる堂々秀高校。


目の前にはフェンス。



右手と左手 それぞれフェンスを掴んだ。




カドクラはフェンス越しに下を見る。


眼下に広がる暗闇。











(タカハシ、お前もこんな風に暗闇を見下ろしていたのか


辛かったろうな
寂しかったろうな)







カドクラは両手に力を加え、右足をフェンスに引っ掛けた。



転落防止のフェンスも、飛び越えようと思えば簡単に飛び越えられる。



カドクラは残る左足を上げようと、




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