その男、カドクラ ケンイチ









帰りのHR



涙を少し浮かべたナガノが2年6組の生徒達に最後の言葉をかける。


カドクラはそれを後ろで見守る。

やがて生徒から色紙をもらいナガノはハンカチで涙をぬぐう。


ナガノ産休へ。


カドクラは身の引き締まる思いでいっぱいだった。













「ナガノさん。これ俺からの餞別です。」


2人が職員室に戻るとエンドーがナガノに小さな袋を渡した。


「ありがとう。」


ナガノが袋を空けると“安産”と書かれた御守りが出てきた。



「ナガノ先生、
短い間でしたけどありがとうございました。」


カドクラも声をかける。



「うん。これから大変だけど頑張ってね。」








3人のもとに教頭が来る。


「ナガノ先生、ひとまずはご苦労様でした。」


「ありがとうございます。
お休みしてご迷惑おかけしますがよろしくお願いします。」



「くれぐれもお体に気をつけてください。
カドクラ先生、ちょっといいですか。」


「あ、はい。」



カドクラは教頭と共に職員室から出ていく。















「エンドー先生。」


「はい。」


「あの…カドクラ先生と6組の子達をよろしくお願いします。」


「フォローはちゃんとしますよ。」



「……本当に今までありがとう。」


「…まっ体に気をつけてな。」


「うん。」



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