初恋クローバー 〜蒼空との約束〜
―――翔くんを好きになったのは中学最後の年のことだった。

陽菜は放課後、教室のベランダからサッカー部の練習をみるのが好きだった。

その中で特に目立っていた人。

それが翔くんだった。

ひとつひとつの動きが綺麗で。かっこよくて。

最初はただの憧れだった。


ある日の放課後、陽菜は委員会の仕事で、帰るのがみんなより遅くなってしまった。

辺りは真っ暗。

「やばい、さすがにおそすぎたあ…。」

昇降口から校門までは街灯がないため、余計暗く見える。

しかもその日は夕方、急に雨が降ってきた。

陽菜、ほんとに運わるいなあ…。

でもずっとここにいるわけにはいかないし。

「傘、ないの?」

突然横から声が聞こえた。真っ暗だから顔はみえないけど。

でも、陽菜はわかった。憧れてる人だから。いっつも見てたから。

「…翔…くん?」

「傘ないなら送ってくよ?白咲陽菜(しらさき)…だよね?」

翔くん。陽菜のことしってたんだ。名前、覚えてくれてたんだ。

どうしよう。憧れの人がこんな近くにいて、送ってくれるなんて、うれしくてしかたないよ。
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