サイレント・タロット
「感じが違う? どういう風に?」

店内にはゆったりしたギターのBGMが流れている。

「占いのときは……なんかエロい感じだったよ」

私は渋い顔をして横を向いた。

「帰ろうかな」

「誤解しないでよー、俺の表現力のせいで悪いけど、圧倒されるオーラがあったよ。暗闇の中でぼうっと輝いてるかんじの。今は、話しかけやすいけど」

「……ふーん。集中してるからじゃないかな」

私は指先にくるくると髪を巻き付けて弄ぶ。

「また行ってもいい?」

「……それは歓迎するわ。何か占いたいことがあれば。なくても、何か困ったことがあればいつでも。」

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