極上武士と今日から恋しませんか〜甘々×エロ〜



ミーンミーン ミーンミーン。

季節は夏。
蝉の鳴き声がハッキリと聞こえる7月半ば。




大学も夏休みに入る前で、
最後の講義&前期試験終了日を迎えていた。




「えー、
では各自資料等を参考にしてレポートを作成し、
夏休み明けの最初の私の講義の時に提出するように。
そして、使用した参考文献、
著者名等は必ず入れるように!」



必修科目である歴史の講義で出されたレポートのテーマは、
安土桃山時代に活躍した戦国武士。

気になる武士について15000字でまとめ上げて来いという、
いかにも卒論風な課題だった。





「はーあ…、
これから忙しくなる看護科2年生に卒論並みの課題出すなんてあの先生頭おかしいんじゃないの?」



「ほんとそれよね…。」



あたし、
桐ヶ谷 都姫 (キリガヤ ミヤビ)。

現在看護科2年の19歳は課題レポートで使用する参考文献を早速大学の図書館にて探し中。

ブツブツ文句を言ってる友達の早瀬 由香(ハヤセ ユカ)と一緒に。



日本史が必修科目に当たるからやらなきゃいけないんだけどね。




「由香は誰にしたんだっけ?
書く武士は。」



あたしは本棚から本を手に取り、
パラパラとめくりながら、
反対側の本棚の方にいる由香に尋ねた。



「んー?
あたしは織田信長にしたよー?
だって資料とか沢山あるし書きやすいじゃん♪都姫は?」



…なるほどね。



「あたしはまだ決めてないんだよね…。
まだ迷ってる…。」



そう…、
当のあたしはと言うと、
レポートで書きたいと思う武士が中々決まらないんだよね…。




「えー!!適当でいいじゃんっ!
豊臣秀吉とかさ、徳川家康とかさ、
有名なのいるじゃんっ?
そういうのでいいじゃん?
だってさ、
要は提出すればいいんだからさっ!」



信じられない!とでも言うような由香の驚きの声が反対側からすぐに飛んできた。



「うん…、
でもなんか適当が嫌なんだよね…。
やるからにはやっぱりちゃんとテーマの武士を決めたいなって…。」



そう苦笑したあたし。



「ほんっと真面目なんだからぁ〜…、
都姫は…。
あたし達看護学生はこんな日本史なんかの課題に時間を割いてる場合じゃないんだから…。」




そうだった…。
課題は日本史だけじゃなかったんだっけ…。

他にも重要科目の課題がたんまり出されてたんだった…。




「そう…、だよね…。
じゃあ、無難に豊臣秀吉にでもしようかな…?」



「そーそ!それがいいって!
こんな時間の無駄な科目の課題は適当にやって提出さえしてたらいいんだって〜♪」



「うん…、分かった…。」



「ってなわけで、じゃーん!
参考文献もう見つけちゃったっ!」



ガクッとあたしがうな垂れた時、
隣の本棚の方から満面な笑みを浮かべた由香が数冊の本を両手に持って、
ヒョイッと顔を出してきた。




「えっ、もう?早…。」


「都姫がじっくり考えたりしてるからよ〜!」


「ごめん…」


「いいよんいいよん♪
全然待つし♪
ゆっくり決めて〜♪
あたしはその辺ぶらついてるからさ!」


「分かった!ありがとっ!」


「何たって今日は温野菜予約してるんだもんね?
楽しみ〜♪」




あ…、そっかっ!

今日は前期試験最終日だったから、
お疲れ様〜ってことで由香と温野菜行く約束してたんだっけっ!



うわぁ…、
それなら早く資料集めなきゃだっ!



「ごめんっ!由香っ!
急いで決めるねっ!?」



「あははっ!
そんな焦らなくていいから〜!
ほんとにゆっくりでいいからね?」



「ありがと…っ!」



適当だけど、
テーマの武士を豊臣秀吉に決めたあたしは急いで豊臣秀吉関連の本が並んでいる本棚を探した。




「ええっと…。
豊臣秀吉…、豊臣秀吉…っと…。
あった!
この辺かな…?」



豊臣秀吉の生涯、
歴史、生活、政治などといった本がところ狭しに並んである。



織田信長と同じくらい有名な武士だもんね…。
資料には困らなさそう…。



「これとこれとあれにしよ」



あたしが手を伸ばして数冊適当に本を取っていたその時だった。




ガタッ!!




「キャッ!」




どこからか一冊の本が落ちてきたみたいで…。



「あー…、ビックリした…。
もー…、何…?」




あたしは手に取っていた参考文献用の本を一旦本棚に置くと、
足元の方に転がり落ちてきたその本を拾ってみた。



タイトルがすぐにあたしの視界に入る。



「安土桃山時代〜もう一つの歴史〜…?」



どうゆうこと…?



もう一つの歴史って…。



「っていうか…、
どこから落ちてきたんだろ…。
この本…。」



本棚を揺らしたわけでもないのに勝手に本が落ちてくるなんて…。



上の方の棚を見上げてみるけれども、
この本のタイトルと関連しそうな箇所は見当たらなかった。






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