溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
彼の情熱的な言葉に目頭が熱くなり、背中に手を回してギュッとしがみつく。
すると彼は「はぁっ」と情欲をそそるようなため息を吐き出しながら果てた。

なんとなく、彼の様子がいつもと違う。
だけど、それがどうしてなのかわからないまま、彼の腕に包まれて眠ってしまった。


翌朝は彼の車でホテルまで送ってもらった。


「澪」

「はい」


裏玄関の前で車を降りると、大成さんが私を呼ぶ。
窓から運転席を覗き込んだものの、なにも言わない。


「大成さん?」

「ごめん、なんでもない。いってらっしゃい」

「はい。いってきます」


彼の笑顔がぎこちなく感じたのは、昨日からの妙な胸騒ぎのせいだろうか。


その日は担当する部屋がいつもより四部屋多く、走り回った。


「ちょっと、澪!」


なんとか客室掃除を終え、遅めの昼食をとるために休憩室に向かうと、バタバタと百花が追いかけてくる。


「どうしたの?」

「こっち」
< 254 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop