溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
それはなんとなく感じていた。
私を傷つけたら、大成さんが怒るのはわかっているはずだからだ。


「どうしたらこのことを口外しないでおいてくれるのかと聞いたら、東横銀行の幹部の前で婚約破棄の謝罪を要求された。東横銀行に傷をつけたからと。あのパーティには東横の関連企業も招待されていたからね」

「そんな……」


どうしてそんなことをしなくちゃいけないの? 大成さんに恥をかかせるため?


「実は、千代子さんには婚約破棄をした直後に、直接会って謝罪したんだ。強引な婚約を結んだのは、俺の親父と彼女のお父さんだ。彼女は結婚を望んでいたが非はない。元彼のことは別として、俺が彼女に恥をかかせたのは間違いないから」


そう、だったんだ。ちっとも知らなかった。


「そのときは、私も悪かったからと許してくれた。もう忘れて互いの道を歩こうと言ってくれた。けど、あの元彼の暴露話のせいで、彼女はうしろ指をさされるようになり、孤立してしまったんだ」
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