日向 HIMUKA
ミカの憂鬱
 次の日。

やけに朝早く目覚めてしまったぼくは、
近くのコンビニにおつかいに行かされた。

母さんは、目覚めてもなお布団にしがみつくぼくを、
容赦なくたたき起こしておいたてる。

食パンを買ってこいってさ。

まったく、休みの日ぐらいもっとゆっくりさせてくれとか、
たまにはもっと豪華なパンを食べさせろ
とかいったぼく苦情は、いつものごとくあっさり無視。

おまけに、目玉焼きができるまでに帰って来いという
無茶な要求のせいで、
寝癖が踊る髪をなおす間もなく、
ぼくは店へとびこんだ。

こんな無残な姿を同級生には見られたくない。

とくにミカには。

すばやく5枚切りで170円、
といういつものやつをカゴに放りこんで
レジへ向かおうとした時、
ぼくは、はたと足を止めた。

< 8 / 85 >

この作品をシェア

pagetop