降りやまない雪は、君の心に似てる。



お母さんはシングルマザーで、生まれた時からうちにはお父さんという存在がいなかった。

どんな人なのかは詳しくは知らない。でもそれが原因で、お母さんとおばあちゃんは、私たちが寝静まったあと、いつも喧嘩をしている。


「大樹、ちゃんと手洗いうがいしなよ」

リビングでお母さんの横にべったりと座る大樹を睨むように見た。


「今するよ!でさ、今日の昼休みにドッジボールして――」と、大樹は学校で起きた出来事をいつものようにお母さんに報告する。


そんな大樹を微笑ましく見つめるお母さんの目が優しくて、私は逃げるように勉強机へと向かった。


大樹はああやって人との距離を詰めるのが上手くて、学校でも友達は多い。

私にだって友達のひとりやふたりいるけれど、大樹が来るとみんな大樹に取られてしまう。

今日だって、教室で遊ぶはずだったのに、みっちゃんや智子ちゃんたちはドッジボールをしに行ってしまった。
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