私の上司はご近所さん

正午を迎え、さつき通り商店街が多くの人で賑わい始める。焼きそばの売り上げも順調。ホッと気を緩めたとき、その光景は突然、私の視界に映り込んだ。

夏らしい紺と白のボーダーTシャツにジーンズスタイルの部長に胸がトクンと高鳴ったのは、ほんの一瞬。部長の隣に寄り添う彼女の姿に気づいた瞬間、心臓をわしづかみにされたような痛みが走った。

サラリとしたストレートの長い髪に、透けるような白い肌と紺色のワンピース。上品で清楚な彼女は部長とお似合いだ。

夏祭りに誘ったのは私だけど、まさか彼女同伴で来るとは思ってもみなかった。

もしかしたら部長は彼女を私に紹介するつもりなの? こんなことなら、夏祭りに誘うんじゃなかった……。

並んで足を進める部長と彼女の姿をこれ以上見るのがつらくて視線を逸らす。

なにも見たくない。なにも聞きたくない。なにも感じたくない……。

心の中で部長と彼女を拒否すると、暗い闇に吸い込まれるように意識が薄れていった。

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