私の上司はご近所さん
「キャッ!」
「園田さん、大丈夫?」
短い声をあげて尻もちをついた私を、周りの同僚たちが心配してくれる。
「大丈夫です」と返事をしたものの、職場で尻もちをついてしまったことが恥ずかしい。
穴があったら入りたい……。
周りの視線を気にしながらすぐさま立ち上がろうとしたとき、目の前に大きな手がスッと差し出された。
「大丈夫か?」
この低くて冷静な声の主は、もしかしなくてもあの人だ。
「部長……」
ついさっきまでは不在だったのに、こんなときに戻ってくるなんてタイミングがいいのか悪いのか、よくわからない。でも尻もちをついている私の横を素通りすることなく、手を差し伸べてくれた部長の好意はうれしかった。
私に手を差し出す部長の姿は、まるで王子様のよう。キザなポーズも嫌味がなくてスマートだ。
部長の手に自分の手を重ねると、瞬く間に体が浮かび上がる。
「ありがとうございます」
立ち上がる手助けをしてくれた部長にお礼を言いつつ、頭をペコリと下げた。すると頭の上から思いもよらない言葉が降り落ちてきた。
「しかし、すごい音だったな」
部長の言う通り、尻もちをついた音は自分でもビックリするくらい大きかった。
「す、すみません……」