私の上司はご近所さん

合コンと変質者


翌日、金曜日の午後六時。定時を知らせるチャイムがオフィスに鳴り響く。デスクの上にはまだ処理が終わっていない書類が山積みになっている。しかし昨日、私は残業をしないと部長と約束した。

続きは来週の月曜日にやろう。それに連日の残業で疲れも溜まっている。今日は早く家に帰ってゆっくりしよう。

そう考えながら書類をキャビネットに片づけると「お先に失礼します」と挨拶をした。広報部を後にするとエレベーターに乗り込む。するとバッグの中でスマホがブルブルと震えた。

定時退社する社員が多く乗り込んでくるエレベーターは、各階止まりを繰り返す。こんな混雑していては、バッグからスマホを取り出すこともできない。

いったい、誰からだろう……。

震えが止まったスマホを気にすること数分、エレベーターがようやく一階に到着した。エレベーターから急いで降りるとバッグからスマホを取り出す。画面には結衣からの着信履歴が表示されていた。コールバックすると、すぐに結衣が出た。

「百花? 今どこ?」

「一階のエントランスだけど」

「わかった。すぐに行くからそこで待ってて! 一歩も動いたらダメだからね!」

「う、うん」

スマホ越しの大きな結衣の声に圧倒されつつ通話を切った。

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