もしも、運命の赤い糸がみえたなら


担任の谷先生が


「それじゃ、順番に自己紹介をしようか」


といい、出席番号1番の女子が席を立つ。


名前と出身中学とよろしくお願いします、とだけ言い、彼女が席に着くと、次の男子が同じように自己紹介をした。




「石川栞菜です。南中出身です。

よろしくお願いします。」



それだけ言って私も着席する。



後ろの席の男子が立つ音が聞こえた。






あたしは、彼を思い出した。



くっきりした二重、


ハーフのように高い鼻、


こげ茶に染めた癖のない髪。



細身で、アルトの少し癖のある声。




入学式の最後。職員紹介。





「社会科担当の山脇輝です。」




前に出てきた彼を見た瞬間。




私の体に強い電流が流れて、息が苦しくなって、頭がぼーっとなって。





初めての経験だったけど、「これがひとめぼれなんだ」ってわかった気がした。


< 2 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop