もしも、運命の赤い糸がみえたなら
「石川さん、部活してないの?」
「うん。森くんは、野球部なんだよね?」
「そうだよ。天野とか平田と一緒」
「むかしから野球してたの?」
「野球は中学から。小学校ではソフトしてた」
「そうなんだ。なんでソフトしようと思ったの?」
「父さんが野球が好きだからかなぁ。
小さいころから兄ちゃんとかとキャッチボールして遊んだりしてたし」
「へえ。森くんって野球部って感じだよね」
「何それ。石川さんは部活、何かしてたの?」
「あたし、美術部だったよ」
「あ、そんな感じする。高校では美術部、入らないの?」
「うん。そんなに上手くないし。」
「もったいない。俺、絵描くの、めっちゃ苦手だから、うらやましい。」
森くんとの会話は思った以上に楽しかった。
委員長を推薦されただけあって、頭もいいし気が利くし。
話し方が少しおっとりで、話しやすかった。
バスが来て、乗り込み、会話をしているうちに2か所目に行く予定だった文化遺産の近くまで来た。