棘を包む優しい君に
10.解けない問い
「いつノックすればいいのか困りましたよ。」
言葉とは裏腹に嬉しそうな爺に辟易する。
「覗いてたらノックの意味ねぇ。」
悪態をついても、嬉しそうな爺には無駄だった。
僅かに開いているドアに気づいて、色々を中断すると朱莉を帰らせた。
熱っぽい顔をした朱莉を1人で帰らせるのは心配で覗いていた爺に送るのを頼んだ。
送り終えて戻ってきた爺がこれである。
「だいたい昨日、俺が寝てるのにあいつを部屋に入れるなんて……。」
まったく爺は何をしてるんだか。
「朱莉様なら大丈夫だと思いましたので。
実際、大丈夫でしたでしょう?」
「記憶を消すのを先延ばしただけだ。」
オヤジや爺の思惑通りになったようで気に食わない。
「またまた〜。先延ばしなんて坊っちゃんが一番嫌いなやつですよね?」
ニマニマする爺に付き合ってられなくて席を立つ。
「データ整理は終わったから俺も帰る。」
「でしたら朱莉様とご一緒すればよろしいのに。」
「爺に文句を言わなきゃ腹の虫が治まらないんだよ。」
そしてあいつがいる前でこんな話したくない。
踵を返して会議室を出る。
「お送り致します。」
爺が慌てて後に続くがそれを止めて指示をした。
「あの狐。大丈夫なのかオヤジに報告と監視を頼むぞ。」
「はい。直ちに。」
引き締まった顔に変わった爺は会議室を出た後、健吾とは別の方へ歩いていった。
言葉とは裏腹に嬉しそうな爺に辟易する。
「覗いてたらノックの意味ねぇ。」
悪態をついても、嬉しそうな爺には無駄だった。
僅かに開いているドアに気づいて、色々を中断すると朱莉を帰らせた。
熱っぽい顔をした朱莉を1人で帰らせるのは心配で覗いていた爺に送るのを頼んだ。
送り終えて戻ってきた爺がこれである。
「だいたい昨日、俺が寝てるのにあいつを部屋に入れるなんて……。」
まったく爺は何をしてるんだか。
「朱莉様なら大丈夫だと思いましたので。
実際、大丈夫でしたでしょう?」
「記憶を消すのを先延ばしただけだ。」
オヤジや爺の思惑通りになったようで気に食わない。
「またまた〜。先延ばしなんて坊っちゃんが一番嫌いなやつですよね?」
ニマニマする爺に付き合ってられなくて席を立つ。
「データ整理は終わったから俺も帰る。」
「でしたら朱莉様とご一緒すればよろしいのに。」
「爺に文句を言わなきゃ腹の虫が治まらないんだよ。」
そしてあいつがいる前でこんな話したくない。
踵を返して会議室を出る。
「お送り致します。」
爺が慌てて後に続くがそれを止めて指示をした。
「あの狐。大丈夫なのかオヤジに報告と監視を頼むぞ。」
「はい。直ちに。」
引き締まった顔に変わった爺は会議室を出た後、健吾とは別の方へ歩いていった。