僕の落とし物
第二話 きっかけ
あれから、予定が合うと、ちょこちょこ会うようになった。
でも数える程しか会えてない。
なんかあの子は忙しそうだから。
連絡が無いと、気が気でない。
勉強も手につかない。
下手するといつも備えてた抜き打ちテストも忘れるくらいだった。
二階堂に、
「お前最近おかしいぞ」
と言われたくらいだが、上の空の空返事の、
「ああ」
しか言えなかった。
いつからか、あの子の事が、あの子の柔らかい笑顔が、四六時中思い出され、離れない。
つらか、ほく僕はあの子に、恋をしてしまっんだと思う。
そんな気持ちは初めてで、受け入れにくいものもあったけど。
テストの成績が落ちた。
先生がいつもと違うのに気付いて、
「お前ならもうちょっと取れるだろう」
と言って来たけど、数字でやっぱ決められるんだなぁと思った。

そして、また会えた時、
「僕最近テストがおかしくてさー、点が前より取れないんだ。君と会いだしてから」
「それって私と会うから?私のせいですか?」
聖歌は素で真顔になってた。
「いや、そういう事じゃな」
僕の言葉を遮って、
「私の存在が、あなたを邪魔してるんですか?あなたは進学校ですもんね。勉強の邪魔になりますもんね」
「違……っ!!」
「楽しくて癒されてたのは私の自己満足でしたか……。なら消えます」
聖歌は涙目になりながら去ろうとした。
「ちょ……、待てよ!!」
僕は聖歌の腕を掴んだ。
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