私はそんなに可哀想ですか?
家庭を持たなかった事を悔やんでいるわけじゃない、ただ、そんな事を考える時点で自分の年齢を改めて自覚したからだ。

そして、さらにバスは3つ程停留所を行くと最後の常連が乗って来る。

俺より2つ3つ歳下だと思われる女性。程よい化粧にスーツを着こなしていて、いかにもキャリアウーマンを絵に描いたようだ。

ただ、いつも何処か悲し気に見えた。

この4人に俺を加えた5人がこのバスの常連。顔見知りではあるが言葉を交わす事は無く、当然名前も知らない。

閉鎖的なこのバスの中の空間が俺の朝の日常だった。

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