私はそんなに可哀想ですか?
「私はそんなに可哀想ですか?」

一瞬に満たない刹那の重巡。

言葉の意味を考え、理解し、心が躍る。

「いや、君は、明子ちゃんは幸せだよ」

ゆっくり、ゆっくりと彼女は口角を上げ、その柔らかそうな頬にエクボを作った。

「私、まだちゃんと聞いてませんよ?だから返事のしようがありません」

悪戯っぽい目を俺に向ける。

「参ったな、まさか自分の子供でもおかしくない歳の子に翻弄されるなんて」

苦笑いを零す。

「明子ちゃん、君を愛してる。君はちっとも可哀想なんかじゃないよ、俺が幸せにするから」

よろしくお願いします。

明子は頭を下げながら言った。


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