芸人
場内は、大爆笑で終わった!この時初めて僕はわかった。
今日のお客は、みな警察官僚だった。
強引に何もわからず、連れてこられたから、わからなかった。
最初からデンさんは、全てわかっていての、ネタを考えていた。
見事である。僕は、たった1分間も、もたなかった。
飲むだけじゃなくちゃんと、笑いを取って舞台を降りた。
舞台袖で、デンさんがチップを数えている。
多分30,40万円ある。
こっちを振り向き、無造作に、何枚かの万札を僕に渡した。
数えてみると10万円あった。今日のギャラあわせて15万円である。

「あの場面でよう、逃げなかったな~普通なら逃げるで、今までコンビ組んだやつは、皆、逃げたけど、お前は、よう辛抱したわ!」

「逃げる?」

前にも山さんに言われた言葉と同じだった。
デンさんは一言、言って、部屋に帰った。
次の日、朝食を食べていたら、田さんがやって来た。

「明日も頼むで!」


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