彼がメガネを外したら…。〜恋のはじまり〜



「……ちょっと、話がしたいと思って来てみたんだけど……」


絵里花がそう切り出すと、崇はその返答を窺うように、今日子の方をチラリと見遣った。そんな様子を見て、絵里花も気を利かす。


「今日子ちゃんも、一緒にいてもいいけど?」


ちょっと上から目線的なその言い方が、今日子には癪に触ったのだろう。


「別にいいです」


今日子は、笑みも見せずにそう言うと、くるりと背を向けた。

崇は今日子の背中が小さくなっていくのを見届けて、絵里花と向かい合った。何のことを話しに来ているのかは、さすがに理解しているらしい。


「……どこか、落ち着いて話せるところ、ある……?」

「そうだな……」


と言っても、絵里花はどこにいても目立ちすぎてしまう。

崇はおもむろに歩き出し、会社にもほど近い小さな公園の片隅にあるベンチに落ち着いた。


開口一番に、崇はこう言った。


「絵里花のこと、嫌いになったんじゃないよ」


その言葉の真意を測りかねて、絵里花は首を傾げて、隣にいる崇を見上げた。


「……じゃ、どういうこと?今日子ちゃんと手を繋ぎながら、私とも続けるつもりだったの?それとも……?」


それは、一番はっきりさせなければならない論点だった。だけど、崇はまるで責められているように、困った顔をした。


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