For*You




言い終わってからソロリ斜め下に下げていた視線を上げる。




「はぁー。
なに、そんなことだったの?」


「そ、そんなことって……!」




颯姫は盛大に溜め息をついて呆れた顔をしていた。


何がなんだかオレにはサッパリだ……。


オレにとってはそれが最重要なことだったというのに……。




「……あたしはもっと……
別れることを考えてたとか……深刻なことだと思ってたの!」


「わわわ別れるって、そんなこと……
あるわけないじゃん!」


「宏が言ってくれないから分かんなかったし……」


「……そ、そう……ですよね」




それにはさすがに反論できない……。




「おまけに慧冴くんからも、宏なんかやめてオレを選んでくれって言われたか……」


「嘘でしょ!?
え、え……もちろん断ったよね……!?」


「あ……当たり前でしょ?
とにかく。
慧冴くんからもそんなこと突然言われたから宏はもうあたしのことなんてどうでも……」


「どうでもよくない!」




また颯姫の言葉を途中で切ってしまったことにも気付かないほど声を張り上げてしまった。




「ずっと一緒にいたいよ。
未来は見えないし不安だけど……。
颯姫が居てくれる毎日がキラキラしてて大切だから」


「……なんか……あたし達さ。
何やかんやでお互いのことで悩んでたんだね……」


「……言われてみれば……」


「言葉にするって大事なことだね」




颯姫の言う通りだと思った。


だからこそオレは……

一番知りたかったことを迷わずに聞こうと思う。




「じゃあ颯姫が笑顔でいてくれるために……
オレはどうしたらいいかな……?」


「そんなの簡単だよ。
宏が笑って隣にいてくれること」


「そ、そんな簡単なこと?
もっと特別な何か……とか」


「もちろんそれも嬉しいけど。
やっぱり宏が心から笑ってくれることが一番嬉しい」




陽斗の言っていた通り、最初はなんで言わなきゃ……って思ってたけど……


言わなきゃ伝わらないことの大切さを、今やっと分かった。


自分だけで考えるんじゃなくて……


言葉にするだけでまるで魔法のように上手くいくことだってある。




「じゃ、そろそろ余鈴も鳴る頃だろうし戻ろっか」


「そうだね」


「そう言えば来月の半年記念どうする?」


「確かその日金曜日だし学校終わってから遠出する?」


「いいねぇ!
遊園地とか久しぶりに行きたいなぁ」


「あり!
絶叫系コンプリートの旅だ!」


「望むとこっ」




颯姫が望むなら。


颯姫の笑顔のために。



オレは隣で心から笑っていたい。


好きな人の隣で笑っていられること。


それはまた、オレにとっての幸せでもあるから…────────




【END】
< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

し ろ う さ ぎ
wiz_u/著

総文字数/103,672

恋愛(純愛)356ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
* 「笠井さんって変わってるよね」 「ありが……って! それ……誉め言葉ぁ!?」 「はは。皆にもそうやって 接すればいいのにー?」 「……い、いやぁ……それはちょっと……」 とにかく目立たないように、 誰かの気分を損ねないように。 自分を偽って生きてきた私の中に 彼は驚くほど簡単に入ってきた。 でも、そんな彼が 一人の時に見せるその瞳は…… 年不相応で妙な焦燥感に駆り立てられた。 ねえ……君は今…… 何を見つめているの…──────── * 斎川夏稀 (サイカワ ナツキ) × 笠井 千鶴 (カサイ チヅル) この物語はフィクションです。 * 【2018/01/05 完結】 本棚へ追加してくださった読者様、感想を くださった読者様ありがとうございます!
ハチミツとレモンサイダー
wiz_u/著

総文字数/11,561

恋愛(純愛)19ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あたしがずっと恋を していた幼なじみは…… 親友の彼氏になりました。 そんな時ひょっこり現れたアイツは…… “可愛くねーなって言ってんの。 つまりブサイク。分かるか?” あたしの天敵になりましたとさ…… * 光里遼雅 (ミツサト リョウカ") × 小久保綾 (コクボアヤ) +α 堂崎薫 (ト"ウサキ カオル) × 深津杏華 (フカツ キョウカ) この物語はフィクションです。 ─*─*─*─*─*─*─*─*─*─ 中編……という形で 書かせていただきます! 行き当たりばったりで 連載していく予定です(おい) 今の所、構成固まってないですが 頑張ります( ;∀;)
Miss*You
wiz_u/著

総文字数/13,254

恋愛(純愛)15ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大キライ、大スキ どうでもいい、どうでもよくない どこかへいって、傍にいて コトバとココロはいつも ちぐはぐなままで…──────── * 月村琉惟 (ツキムラ ルイ) × 笠井遥奈 (カサイ ハルナ) この物語はフィクションです。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop