【完】『空を翔べないカナリアは』

パーティーが、はねた。

貴慶を見送ろうと、美優は店の外へ出た。

「美優、ありがとな」

「うぅん、貴慶が嬉しそうだったから、あたしも何だか嬉しかった」

まだ肌寒い。

「半袖じゃ風邪引くで」

「貴慶もね」

おぅ、と軽く手を振ると、貴慶は本通の手前でタクシーを拾った。

タクシーが小さくなり、角を折れて消えるまで、美優はたたずんでいた。



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