【完】『空を翔べないカナリアは』

〔3〕


とは言うものの。

美優ひとりで何か妙案が浮かぶ訳でもなく、といって返さないのも寝覚めが悪い。

そうこうするうちに授業がはねて、潮見橋を渡ろうと美優が信号待ちをしていたときであった。

「美優ちゃん、今から帰るのかい?」

声をかけてきたのは、出前の岡持を回収した帰りの、顔見知りの寿司屋の大将である。



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