【完】『空を翔べないカナリアは』

〔2〕


ヘルメットを片手に椅子へ腰をかけて待っていると、

「貴慶お待たせ」

と美優が来た。

礼拝堂には誰もいない。

「ここでね、あたし子供の頃に結婚式の先導したことあるんだ」

「へぇー、そうなんや」

「その頃は、まだギャルになるなんて思っても見なかったなー」

「そらそうやろ」

「貴慶って子供のとき、どんな子だったの?」

貴慶はしばし考えた。



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