天神学園の奇妙な案件
「龍一郎、お前をぶっ倒すぜ」

ティーダはユースティティアを鞘に納めた。

代わりに掲げた右手に、女王の力を集中させる。

「風の精霊は、加速や斬撃の他に、治癒の力も持つ。女王なら尚更だ」

ティーダはその女王の治癒の力を、最大の威力で龍一郎にぶつけるつもりでいた。

…無論、龍一郎の肉体は回復する。

同時に、肉体への激痛と精神力で、何とか意識を保っている龍一郎だ。

その痛みを取り除かれるという事は、全身麻酔のようなものだ。

龍一郎は意識を失うだろう。

「くっそ…!」

その事実を知り、龍一郎は抗おうとする。

無理矢理に、立ち上がる。

ビシビシと、音を立てる筋肉、関節。

断裂した筋肉や血管が、血を噴いた。

…これから治癒されようとしているのに、それでも抵抗しようとする。

負ける訳にはいかないと、尚も立とうとする。

…凄い。

この橘 龍一郎って男は、本当に龍の化身かもしれない。

「お前すげぇよ龍一郎。流石一味のリーダーだ」

< 408 / 470 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop