優しい魔女は嘘をつく

バタバタと音がして、私と堂本くんはそちらへ振り向く。



ドアを開けたのは、お決まりの灰色のスーツを着て、片手に箱を抱えている氷上先生。




「お待たせ。いやー、遅くなってごめんね」




「いえ、だ、大丈夫です」




「頼んでたの、持ってきたから。サイズはあれで良かったよね?」




「はいっ」





氷上先生が私に、渡してくれた箱。



開けてみると、中には白いハイヒールが入っていた。






「わ……どうしたんスか、これ」





堂本くんが、まじまじと靴を見つめながら先生に尋ねた。「ふふん」と鼻を鳴らして、氷上先生は自慢げに答える。


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