【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「え??いやー!こんな時間!」
「初めて会った時もその言葉を聞いたな」
芳也はクスクス笑うと、慌てて起き上がった麻耶にリップ音を立ててキスをすると、自分もベッドから出た。

バタバタとバスルームに向かう麻耶を見ながら、芳也も着替えると久しぶりにゆっくりとコーヒーを落とした。
4ヶ月ぶりの一人ではない家の中が芳也は無意識に微笑んでいた。

「麻耶、朝食何もないけど、コーヒーは入れたぞ。送ってやるから飲んでいくか?」
着替えを済ませてリビングに戻ってきた麻耶を見て、芳也は声を掛けた。

「え?でも社長に送ってもらうなんて……」
「社長として送って行くわけじゃないだろ?」
その言葉に麻耶は照れた表情を見せると、
「じゃあ、よろしくお願いします」
とダイニングテーブルに座った。
「相変わらず冷蔵庫空っぽなんですよね?きっと」
「ああ、まあ。そうだな」
苦笑した芳也に、麻耶は「まったく」と言いながらコーヒーに手を伸ばした。
「今日は何時まで?」
「今日は式の担当はないので18時か19時には上がれると思います」
ニコリと微笑んだ麻耶に、芳也は真剣な表情を向けた。その表情に麻耶はドキンとすると、芳也の次の言葉を待った。

「麻耶、また今日から一緒にここで暮らしてくれないか?同居じゃなくて。恋人として」
「……いいんですか?」
その言葉に麻耶は嬉しさと驚きで、コップを持ったまま芳也を見つめた。
「もちろん。麻耶のいない家にはもう耐えられない」
「よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げて麻耶は微笑んだ。
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