【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
急いで支度をして、麻耶は芳也の助手席に座っていた。

「どこに行きたいか決まった?」
「考える暇が無かったじゃないですか……」
考えている途中でそのまま押し倒された麻耶は、ジロっと芳也を見た。

「お前だって嫌がってなかっただろ?」
ニヤリとした芳也に麻耶は軽く息を吐くと、

「芳也さんとならどこでもいいから、別にいいです」
少し恥ずかしそうに言った麻耶の手を芳也は握ると、
「じゃあ、もうすぐこの車ともお別れだからドライブしよっか」
そう言うと、勢いよくアクセルを踏んだ。
「あっ、もうすぐですか?納車」
「今週末には来るみたい」
「楽しみですね」
ニコニコしながら言った麻耶に、芳也も頷いた。

芳也は実家と和解したこともあり、ドイツ車からミヤタ自動車の車に乗り換えることにしていた。

「フェルチェンヌって私達若い女の子からすると憧れの車ですよ」
「そうなんだ」
フェルチェンヌはミヤタ自動車の高級ブランドで、若者からすればハイクオリティの憧れのブランドだ。
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