【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「なんだよいきなり。どうしたんだよ?」
「いや……。初めはこの悪魔!とか思ってたんです……」

「おい、悪魔って……」
「だから、思ってたんですけど、家もなくなった私を置いてもらって、こんなに良くしてもらって……本当に感謝しかありません。社長の下心は解りませんが、なんなりとできることは言ってください」

少し前のめりになって言った麻耶の額をそっと芳也は指で押すと、
「だから下心って……なんだよ?お前に下心なんてもってないよ」
「そんなはっきり言わなくても……どうせ色気なんてないですよ」
プッっと頬を膨らませた麻耶を見て、クッと肩を揺らすと、
「いただきます」
そう言って芳也はビールを一口飲むと、
「お前色気がない事気にしてるの?」
「そりゃ……この童顔ですし、それなりの年ですし……仕事柄幼く見えるよりは……」

そう答えると、麻耶も手を合わせて「いただきます」と頭を下げるとサラダに手を付けた。
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